初心者でもめざせ

お金を稼ぐために投資するベンチャーキャピタルに入る方法

お金を稼ぐために投資するベンチャーキャピタルに入る方法
今から数十年前まではどこの国でも間接金融の比重が高く、銀行が金融の主役と言われました。なかでも、日本やドイツは戦後の復興期において間接金融の機能を徹底的に活用して国民から資金を集め、それを産業界に送り込むことによって、世界が驚く経済成長を実現しました。一方、イギリスやアメリカでは市場を利用して資金調達を行う制度などが早くから整い、直接金融を担う証券会社や投資銀行といった金融機関が、金融のもうひとつの主役として存在感を示していました。
1980年代に入ると、大手企業などが社債や株式によって資金調達をするケースが増え、各国の政策も直接金融の活用を推進させる方向へと移ります。コンピュータや、通信技術の進化によって市場の機能がより高まり、使いやすくなったことも市場取引の拡大を後押ししました。信用力の高い企業は従来の借入よりも低いコストで資金調達ができるようになり、また金融技術の発達によって調達や投資の仕組みにいろいろなアイデアを加えられようになったことも、直接金融の拡大につながったと考えることができます。
間接金融と直接金融の併用が進む現在では、企業などが資金調達を行う場合の選択肢がより広がり、銀行や証券会社などがさまざまな提案を展開しています。また、投資のための金融商品のメニューも、かつてとは比べられないほど増加しています。

エンジェル投資家とは|出資を受けるためには何が必要か

マイク・マークラというアメリカの投資家は、創業間もないアップルコンピュータへ投資し、アップル株式の3分の1を買い占め、二代目の社長を務めました。ドイツ出身のコンピュータ技術者であり実業家でもあるアンディ・ベクトルシャイムは、グーグルがまだ会社になる前から20万ドルを投資しました。
そして、これらの「賭け」が見事に成功をおさめたのは、周知の事実です。
ただ、エンジェル投資家のなかには、賭けという気持ちがなく、純粋に「起業家のビジネスに共感し、社会の課題を解決したいという思いをサポートしたい」という思いから投資をする人も多くいるのも事実です。

(3)エンジェル投資と一般的な投資との違い

一般の投資家は、企業が安定して利益を生むように成長し、株式の配当という形で継続的に利益を売ることを期待しています。
しかし、 ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などは、このような形を望みません。その企業が他の企業に買収されるか自ら上場するかといった「エグジット」の時点で損益を確定したいと考えています。つまり、継続的かつ安定した利益についてはあまり期待していません。

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※エグジットとは、スタートアップの創業者やベンチャーキャピタルの投資資金回収手段または方法のこと。 具体的には上場した後、株式を売却して利益を手にしたり他の企業に買収された際の利益を手にしたりすること。

(4)起業直後で投資してもらうのは難しい

起業前の段階を「シード(種)ラウンド」と言いますが、この時点で出資してくれるエンジェル投資家はなかなかいません。 アメリカでは、シードラウンドの段階で投資するインキュベーターも存在しますが、日本ではこのようなシステムはほとんどありません。
「自己資金はないけど、大きな夢と情熱とビジネスアイデアがある。だから出資してほしい」と訴えて資金を出してくれるのは、親や兄弟、知人といった関係者である場合がほとんどです。
まったく見ず知らずのエンジェル投資家と接触して面談し交渉を重ねても、投資してくれる可能性はほとんどないと覚悟しておきましょう。

(5)エンジェル投資家は上場を目指さない経営者に興味はない

これまでもご紹介してきたとおり、エンジェル投資家は企業にお金を貸して金利を得ることを目的としているのではなく、上場や事業買収などによるキャピタルゲインを得ることを目的としています。
したがって、「上場など考えていない」という起業家には、エンジェル投資家が出資してくれることはありません。そのような場合には、クラウドファンディングの活用など、他の資金調達を検討した方が現実的でしょう。
資金調達の方法については、下記の記事でまとめていますので併せてご覧ください。

エンジェル投資家から投資を受けるためには

(1)まずはエンジェル投資家と出会うこと

あたり前のことですが、エンジェル投資家に投資をしてもらうためには、エンジェル投資家と出会うことが必要です。
エンジェル投資家とマッチングを行っているセミナーに参加するなどの方法もありますが、「この人に投資してほしい」という具体的な希望があるなら、直接SNSを活用してコンタクトを取ってみるのも有効です。
なかにはホームページを見て問い合わせをして交渉をした人もいますし、エンジェル投資家が主催するビジネスコンテストを活用して投資を受けることに成功した人もいます。

(2)エンジェル投資家にはいつ会うべきか

先ほど、起業前のシードラウンドでエンジェル投資家と面談しても、投資を受けることは難しいとご紹介しました。
ただし、シードラウンドの次の段階「アーリーステージ」では、エンジェル投資家の投資を受けるチャンスがあります。
事業計画に粗さがあっても製品やサービスが魅力的であれば、エンジェル投資を受けることができるうえに、エンジェル投資家の人脈やノウハウの支援(ハンズオン)を受けて事業を成長させることができます。
実際にはこのアーリーステージで資金不足の状況になる企業が多いため、シードラウンドの段階でエンジェル投資家を探し始めることをおすすめします。

(3)エンジェル投資家との面談前に必要な書類

①会社謄本
②直近の決算書2期分
③直近2カ月分の試算表
④販売管理費明細表
⑤直近の銀行残高と借入残高
⑥株主名簿
⑦定款
⑧役員名簿と個々の役員の経歴
⑨主要取引先リスト お金を稼ぐために投資するベンチャーキャピタルに入る方法
⑩ホームページのURL
⑪会社案内パンフレット(あれば)
⑫資本政策表
⑬株価算定表
⑭事業計画書
⑮発行株式の概要

(4)エンジェル投資家が面談で重視するポイント

~ ① エンジェル投資家は、プロダクトの市場適合性とエグジットを見る ~

エグジット(出口)とは、投資家の場合、株式上場や他の企業に買収されることの2つをいいます。
こうした独創的な技術を評価する際の基準に、「10倍ルール」という基準があります。
10倍ルールとは、従来の製品やサービスと比較して、10倍以上の価値を提供できる技術・サービスを持つ企業にのみ投資するというルールです。
投資額の5000倍や1万倍のリターンがあることはめったにないものの、50倍から100倍のリターンは得る可能性が十分ある…これを投資家は期待するわけです。

~ ② エンジェル投資家は、起業家の資質を見る ~

エンジェル投資家が投資したビジネスは数多くありますが、そのなかのひとつが「Uber」という企業があります。
このUberが当時500万ドルの企業価値しかなかった時期に2万5000ドルを投資したエンジェル投資家ジェイソン・カラカニス(Jason Calacanis)が、その著書『エンジェル投資家』のなかで、次のように語っています。

(5)エンジェル投資家の活用方法

エンジェル投資家は、「この会社は成功する確率が高い」と見込むからこそ、お金を出します。
起業間もない段階では、自社のビジネスに熱い思いを持ち業界の知識は豊富でも、経営経験は乏しく財務や法務に手が回っていないことも多いはずです。また、自社の製品やサービスに自信を持っていてもどこに営業をすればいいのかという戦略が足りない場合もあります。
そのような時、 お金を稼ぐために投資するベンチャーキャピタルに入る方法 エンジェル投資家のノウハウや人脈を活用して事業を成功させることが期待できます。

また、追加の運転資金が必要な時にもサポートを受けられる可能性があります。
起業してから上場まで、何のトラブルもなく伸びていくケースはほとんどありません。
想定外の事態が生じて追加の運転資金が必要となることもあるでしょう。そのような時には、エンジェル投資家に追加出資を求めることもできます。エンジェル投資家としても、これまでの投資を無駄にしたくはないので、応じてくれるケースが多いです。

以上、エンジェル投資家から出資を受けるために必要なことについてご紹介しました。
起業家が、熱い想いから株式公開を目指そうとしても、起業したばかりで十分な事業資金を元に事業開始をできることは珍しいでしょう。
しかし、事業を拡大するためには事業資金が必要です。そして、その事業資金を確保するためのひとつの方法として、エンジェル投資家から出資を受ける方法ということです。

エンジェル投資家からの出資を成功させるためには、まずエンジェル投資家をうならせるほどの「成功させる強烈な意思」と「ビジネスの魅力」を伝えることが必要です。
そして、その意思や魅力を伝える方法のひとつの材料が、事業計画書の作成です。
資金調達に精通している税理士や公認会計士に相談することで、この事業計画書の作成をサポートしてもらうことができます。
また、税理士や公認会計士からエンジェル投資家を紹介されるケースも頻繁にあります。ファイナンスに強い税理士事務所・会計事務所は、エンジェル投資家から出資を受ける際に、非常に心強いサポーターになってくれます。まずは、エンジェル投資家からの資金調達の成功実績がある税理士に相談することをおすすめします。

エンジェル投資家について相談する

エンジェル投資家から投資を受ける際には、決算書や試算表、事業計画書などさまざまな書類の提出が求められます。これらの書類作成をサポートしてくれる税理士を探すなら、freee税理士検索 をご活用ください。

freee税理士検索 では2,800以上の事務所の中から所得税、相続税、贈与税について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」 もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」 お金を稼ぐために投資するベンチャーキャピタルに入る方法 で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

お金を稼ぐために投資するベンチャーキャピタルに入る方法

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代表取締役社長 田所 雅之

プロフィール

2001年、関西学院大学卒業後、米国アリゾナ州立大学哲学部に留学し、科学哲学(philosophy of science)を学ぶ。
科学哲学には、物理学、生物学、自然科学、社会科学などの素養が必須であるため、大学図書館にあったリベラルアーツの数百本のビデオを鑑賞。書籍も数百冊読み、内容と共に、情報処理の仕方、メタ的にインプット・アウトプットする方法を学ぶ。
アメリカで哲学を学んだ人間は、アカデミアになるのはごくわずかで、その大半が弁護士になる。思考実験とロジカルシンキングを徹底的に訓練し、弁護士予備軍たちと3年間ディスカッションを重ねる中で英語力を身につけた。

アメリカ留学の集大成等して英語で哲学の論文を書き、大学院の博士課程に応募して、アカデミアになろうと思っていた。しかし2004年、家族の事情により帰国(両親が別居してしまったので、留学どころではなくなった)そのまま、バイトでもしながら、高い 学位を目指す道もあった。しかし、その時25才。既にいい歳だ。日本の友達はみな働いていた。
本質的な学問を通じて視座/英語力を身につけ、自国以外のカルチャーにどっぷり使って世界観を広げる、というのも留学の目的のひとつだったので、アカデミアは道半ばだったが、人生を方向転換する。

自分はシリコンバレーという場所が非常に好きだった。株式会社Ishin (当時の名前は株式会社幕末)という会社と組む機会があり、上場企業の社長や経営陣をシリコンバレーに連れて行くツアーを作ったり、日本企業のシリコンバレー進出の支援を行っていた。何十人もの経営者をサンノゼやサンフランシスコに連れていく中で、Fenox Venture Capital(現ペガサス・テック・ベンチャーズ)のCEO アニス・ウッザマン氏に出会った。アニスから、日本のベンチャーパートナーにならないかと声がかかった。自分も、起業家としてVCというポジションを知り、非常に強い興味があったので、受けるという返事をした(ベンチャーパートナーとしてFenoxには2017年末まで在籍していた)Fenoxでの担当は日本と東南アジアだったので、東南アジアによく行った。

ここで、時折物議を醸す「Due Dilligence 」という表現について解説したい。
米国のVC業界では「スクリーニング」とは言わずに「アーリーデューデリジェンス」という言い方をする(少なくとも僕がいたVCではこう表現していた。)
自分のFenoxでの主な役割はスタートアップのソーシングだったので、相当数のスタートアップから毎日のようにピッチを受けていた。(大体、週で10件以上のスタートアップからピッチを受けて評価をしていた。)
他のVCからの紹介や、ピッチイベント審査員も数多くやった。「パイオニアズアジア」という、日経新聞とパイオニアズのスタートアップイベントの、スタートアップの責任者もやっていた。その時に992社のスタートアップの評価をした。
これらも入れたら4年の期間で、2,000社近くのスタートアップを評価したということである。

2014年から2017年までは、Fenox(ベンチャーキャピタリスト) とSkillhub(起業家) として活動を同時進行していた。VCでほぼ毎日ピッチを受け、様々なスタートアップからアドバイスを求められる。同時にスキルハブのCOOとして経営もすると、ものすごい情報量のインプットとアウトプットがあり、どうにかしてまとめないと頭が混乱すると感じた。

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