市場は今後どこへ向かうのか
日本各地、とくに古都・京都には世界に誇れる「匠の技」といわれる伝統工芸が数多く存在する。しかし、高度成長期の後半以降、伝統産業の規模は出荷額、事業者数とも縮小し続けている。さらに、伝統工芸の匠の技を習得するためには長い期間を要することから、後継者が不足し、匠の技の継承が危ぶまれているのが現状だ。
伝統産業を再生し、その技術を未来に引き継いでいくには何が必要か。京都工芸繊維大学の 濱田泰以教授にうかがった。
百年で培った技術を新結合し「第三の創業」を歩む
「地方創生」、「女性活躍社会」の実現を目指して
ICTを活用しコミュニケーションの壁を超える
120年の歴史から未来を紡ぐ
超微細な泡(ファインバブル)が暮らしと企業を変える
1メートルの1億分の1というナノレベルの超微細な「泡」をご存じだろうか。カキの養殖では早期に生育する、魚や野菜が大きく育つ、食品や生魚が傷まない、洗剤を使わずに農作物、機械器具、壁、高速道路等を洗浄できる、といったさまざまな効果があり、活用が始まっている。医療の分野でも注目される研究が進んでいる。
将来的にはエネルギー分野でも画期的な高エネルギー物質ができる可能性があり、そうなると私たちの暮らしや産業界は大きく変わるかもしれない。この分野は日本が現状では世界をリードしているが、海外からは熱い視線が寄せられている。第二のガラパゴス化に陥らないためには世界的な視点に立った日本のリードが求められている。
そこで今回は、ファインバブル研究のパイオニアとして、産業界と共同で研究・開発を行っている慶應義塾大学の寺坂宏一教授にファインバブルの可能性や課題等についてうかがった。
未来産業を生み出すイノベーション戦略
「日日に新たに」、時代の変化を読み取り市場を開拓
イノベーションが日本を救う
輸出産業を中心に企業業績が 市場は今後どこへ向かうのか 上向き、株価が上昇を続けるなど日本経済の一部には明るい兆しがみられる。しかし、成熟した日本経済や競争激化が進むグローバル経済の中で企業が優位性を高め、それを維持していくことは容易なことではない。
そこで、イノベーションこそが経済活性化のカギであり、そのためには提供する商品やサービスの「価値」を本当の意味で高めなければならないと説く一橋大学イノベーション研究センターセンター長の延岡健太郎教授に話をうかがった。
再生医療の事業化に挑む
新たな成長を目指して、独自性を追求する
"体格"で劣っていても"体質"で勝てばいい
日本企業の強さを支えてきた 現場力が衰え、競争力の柱を失っ た企業が少なくない。失われた20年の間に、企業が生き残りを図るため現場に大きな犠牲を強いてきたからだ。
これから日本企業がグローバル市場で活路を見出すためには、現場力をどう回復すればいいのか。自ら現場に赴き、「現場センサー」を駆使したコンサルティングに定評のある遠藤功教授にお聞きした。
近づく"人とロボットの共生社会"
大規模災害や少子高齢化を見据え、災害対策ロボットや介護ロボット、掃除ロボットなど幅広い分野でロボットの開発が加速している。一方、情報通信の面では、情報端末だけでなく家電や自動車など多くのモノがインターネットにつながり、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)といわれる時代に入ってきた。
こうしたなか、けいはんな学研都市のATR(株式会社国際電気通信基礎技術研究所)では、ロボットをネットワークで結び、単体のロボットではできないサービスを実現する「ネットワークロボット」の研究開発が進んでいる。そこで、ネットワークロボットとは何か、社会をどのように変えていくのか。ATR社会メディア総合研究所所長の萩田紀博先生にお聞きした。
製造業から"創造業"へ
高い塔を建てなければ、新たな水平線は見えてこない
伝統産業から文化ビジネスへ
急成長するアジアの自動車市場と日本企業の課題
オムロンは、何のために、何をやろうとしているのか
京都総研 ECONOMIC REPORT
財政赤字と財政規律の系譜
日本銀行の歴史と日本経済
日本経済を支える女性の労働参加
デジタル金融・通貨の行方
自然災害にどう備え、どう克服するか
銀行制度の行方
低金利政策の継続、長年の経済停滞に加え、最近のデジタル化の進展などの環境変化のなかで日本の銀行制度は試練のときを迎えている。日本の銀行制度はかつて厳格な規制のもとで発展してきた。しかし皮肉なことに、銀行の苦境は金融自由化による規制緩和とともに始まっている。
規制には、経済合理的な規制に加え、政策的な規制がある。わが国の場合、政策的な規制は歴史的な合理性もあったが、その緩和は遅れがちであった。一方、自由化に向けた新たな体制への整備が遅れバブル等の問題が生じた側面もある。そして、わが国の銀行は自由化のメリットを活かせず今日に至っているように見える。
だが、金融資産が増加するなかで、金融のプロ集団である銀行に未来がないわけではない。現在日本の銀行はデジタル化の進展をふまえさらなる変革の波にさらされている。金融のデジタル化とはマネーとデータ(情報)の融合でもある。金融業とは情報生産業でもある。銀行は金融のプロとしてデジタル化を活かし発展することができる。
『テクニウム~テクノロジーはどこへ向かうのか?』 ケヴィン・ケリー氏インタビュー
~『WIRED』創刊編集長が語るテクノロジーの進化と日本の未来
ケリー氏:
日本の市場に関しては、正直よく知りません。ただ、皆さんはまだCDを購入されていると聞きました。私の子どもたちは、CDなんて買ったことはありませんよ。日本の市場に関して、一つメッセージとして挙げるならば、私が『WIRED』を始めた頃、今ある姿を想像することは不可能だったと思うのです。もし私が2、30年前に戻ったとして、携帯電話やインターネットなど今の世の中にあるすべてのことを誰かに伝えたとしても「そんなの無理だね、そんな経済モデルないでしょ。誰がそのお金を払うの? 情報が全部無料でもらえるなんて? そんなの不可能だね」と言われると思います。でも、今ここに、そういった世界は実在するのです。つまり、次の20年を考えたときに、多くのことが若干クレイジーで非現実的、非常に意味不明に思えるはずなのです。そしてきっと、今後20年で最も大きな発明は、今はまだ発明されていないでしょう。考えられてもいないのです。ですから日本のデジタルマーケットも、まだまだいくらでも巻き返しができると思っています。
ケリー氏:
私には23歳の娘がいます。彼女は6か月間かけて日本を含む本当にたくさんのアジアの国々をめぐり、各国の若手企業家たちにインタビューをしていきました。若手企業家たちに会うのは本当にエキサイティングなことです。シリコンバレーで最も重要な発明やイノベーションはトランジスタではありませんでした。ソフトウェアでもなく、企業文化やスタートアップ文化そのものなのです。この文化はさまざまな国で広がっており、これからも増えていくでしょう。まさにあなたがた日本人は、青色LEDでノーベル賞を受賞したばかりですよね? もっとそういうことが必要なのです。私は、青色LEDのようなイノベーションが、これからはスタートアップ文化のなかから出てくると思っています。日本でも昔はもっとそういう文化があったと思うのですが、最近はあまり聞かないように思います。もっと荒々しくあっても良いと思っています。ですから、私からのメッセージとしては「トライをして失敗をしなさい」ということです。
市場は今後どこへ向かうのか
李南周
1.問題としての米中関係 1
冷戦体制が解体されて以降、米中関係は世界で最も重要な両者関係として認識されてきたが、国際秩序に対する影響は冷戦時期の米ソ関係と比較すれば、大きな違いがあった。少なくとも軍事的にはアメリカと同等の能力を持っていたソ連と違って、中国の潜在力や軍事力はアメリカとの差が大きく、世界において占める比重も少なかった。それゆえ、冷戦体制以後の国際秩序は「一極体制」といわれた。米中関係は性格も米ソ関係と違った。それぞれ資本主義陣営と社会主義陣営を代表し、相互対立した米ソと違って、アメリカと中国は1972年以後東アジアにおいてある種の協調体制(concert system)を維持してきた。中国は、アメリカの覇権的地位を暗黙的に認め、アメリカは「一つの中国」原則に同意するのが、この協調体制の政治的基礎であった 市場は今後どこへ向かうのか 2 。 中国の改革開放は、そこに経済的部分を加えた。2007~08年のグローバル金融危機期にも、米中協力は比較的効果的に動き、当時「中国だけが資本主義を救うことができる」という話が膾炙されたりもした 3 。 このように米中関係は国際秩序の不安要素というよりは、安定要素として作用した。
2.米中関係の変化:協調体制から戦略競争へ
ここ10年間で起こった米中における勢力バランスの変化は、米中協調体制における最も重要な前提だった、アメリカのヘゲモニーが挑戦に直面するようになったことを意味し、それが米中関係を競争的・葛藤的関係へと転換させる構造的原因として作用している。既存の覇権国家と秩序に挑戦する新興大国の出現が大規模な戦争の出現可能性を高めるという主張は、以前からすでに提示されていた。最近トゥキディデスの罠(Thucydides Trap)と関連した論議もその延長線上にある。トゥキディデスの罠は、アメリカの国際政治学者のグレアム・アリソン(Graham 市場は今後どこへ向かうのか T. Allison)が、古代ギリシアの歴史家であるトゥキディデスが『ペロポネソス戦争史』において、スパルタとアテネの戦争を既存の強大国と親交の強大国の間の運命的競争という文脈で叙述したことから着眼して作った概念として、アリソンはトゥキディデスの罠に陥った16事例の中の12事例が戦争につながったと主張した 4 。
もちろん覇権国家と新興大国との競争がすべて戦争につながったわけではない。今の大国間の軍事衝突が招く悪い結果はいずれも耐えることができないので、米中間にもこのような危険を避けるための試みがなかったわけではない。アメリカ側ではG2、「責任のある利害当事者(responsible stakeholder)」等の構想を提示した 5 。これは、中国が自国の浮上を可能にした国際秩序を維持し、強固にすることに、より多くの寄与をしなければならないという主張であった。ところが、中国は、この構想をアメリカが主導する秩序の維持のための責任と費用を転嫁しようとする試みとして見做した。中国はその代わりに2012年から「新型大国関係」という相互核心的利益の尊重を基にする協力関係を代案として提示した。これに対して、アメリカは内包と外延が不明な「核心的利益」という概念を認めるようになると、国際的・国内的懸案と関連した中国の立地が強化されすぎることを恐れてやはり否定的に反応した。
アメリカと中国が、勢力バランスの変化を反映することができる新しいビジョンに対する合意を導くことができず、米中関係において競争的・葛藤的側面が漸次強化され始めた。アメリカは中国の浮上を牽制するために、「アジアへの軸の転換(pivot to Asia)」という新しい戦略を追求し、中国は経済力と軍事力の増加を背景に国際社会で自国の核心的利益をより積極的に主張するために、領有権の紛争において攻勢的態度を見せ始めた。ただし、最近までも内心はともかく、中国はもちろんのこと、アメリカも自国の対外戦略が相手を狙ったものではないという点を強調した。ところが、最近状況が速く変化した。
アメリカは2015年の「国家安保戦略報告書」において「アメリカは安定的で、平和的で、繁栄する中国の浮上を歓迎する」「競争はあるだろうが、対立(confrontation)が必然的だという論理には反対する」と記述したことがあるが 6 、2017年の報告書では中国をロシアと合わせて、アメリカが追求する価値と既存の国際秩序の規範に挑戦する「修正主義」国家と規定した 7 。アメリカの学界でも、アメリカの対中国関与政策が成功しておらず、有効性を失ったということに対して共感する雰囲気が広がっている 8 。ところが、行政府レベルで実質的行動に出るまでには時間がかかったが、先述したように、COVID-19の拡散が契機を提供した。トランプ行政府はCOVID-19の責任を中国政府に転嫁しながら、中国に対する攻勢を強化した。経済領域においては、中国通信企業のファーウェイ(華為)のサプライチェーンを遮断し、「経済繁栄ネットワーク(Economic Prosperity Network, EPN)」や「クリーンネットワーク(Clean Network、技術領域において不法的情報奪取等の危険性を排除するための協力)」のように、主要技術と関連したサプライチェーンから中国を排除しようとする攻撃的構想を提出した。グローバル化の中で想像し難かった経済及び技術デカップリング(decoupling)は、いまや現実的問題となった。軍事領域においてもアメリカは2018年から中国の軍事力に対する抑制を目標とする「インド太平洋戦略」を進めてきたが 9 、COVID-19の渦中にも西太平洋地域において軍事的優位を維持するための多様な動きを見せた。それによって、米中の偶発的軍事衝突に対する憂慮も高まっている。2020年5月、アメリカの国家安保会議(NSC)は、議会に提出した「アメリカの対中国戦略的アプローチ法」において、中国が経済、価値、安保領域においてアメリカと同盟国の利益を脅かしており、「両体制間の長期的な戦略競争が行われるだろう」と主張した 10 。米中競争に理念及び制度の競争という新しい次元が加わったわけである。
それによって、最近米中関係と国際秩序に対する論議は、大半が米中の戦略競争を既定事実としてとらえており、ただし、この競争が破局へつながらない形で行われるようにすることに焦点が合わせられている。「災害のない競争(competition without catastrophe)」 11 、「協力的対決(cooperative rivalry)」 12 、包括的競争の管理(managing comprehensive competition)」 13 等が、このような趣旨を反映する概念である。中国は最近までも米中関係を競争関係と規定することを避けるために努力してきたが、今は関係がそのように転換されているという点を認めている。例えば、前外交部副部長の傅瑩は競争を管理し、必要な領域において協力を維持する「競合関係」と米中関係を規定した 14 。
新たにスタートしたバイデン行政府も戦略的競争を強化する基本方針は、堅持し続けると明らかにした 15 市場は今後どこへ向かうのか 。ところが、バイデン行政府がどのような具体的戦略を打ち出すのかは、まだ不明である。現在アメリカの目標が中国の浮上を抑制しようとするものなのか、中国の制度を変更しようとするものなのか、それとも中国の行動を変化させようとするものなのかによって、具体的戦略と米中関係に対する影響が違ってくる。上記の二つの試みは関係を極めて悪化させることであり、他国との協力を困難にさせ得る。バイデン行政府においてアジア関連政策を総括するようになるキャンベル(Kurt M. Campbell)は、任命直前に寄稿した論文において「このシステム(これまでのインド太平洋地域における秩序―引用者)の均衡と正当性を維持するのは、同盟及びパートナーたちとの強力な協力(coalition)を必要とするが、中国の一定水準の黙認や受容も必要とする」と言及したことがある 16 。中国の行動、とりわけ攻勢的行動に焦点を当てる場合、米中関係に及ぼす否定的影響を管理したり、他国との協力には肯定的であろうが、中国の浮上や米中間の関係が中国に有利な方向へ変わっていく流れを防ぐには限界がある。最近アメリカの対中国戦略と関連した論議は、中国の浮上を抑制したり、体制変化を強圧することと、中国の攻撃的行動を制御しようとすることとの間を行き来しているが、バイデン行政府では後者の方向へ進む可能性が高い。まずは、国内問題が深刻であり、中国との全面的な葛藤による副作用を憂慮せざるを得ないからである。
3.長期・低強度・複合競争としての米中の戦略競争
ところが、米中関係においては注目する必要がある、もう一つの重要な特徴がある。中国は国力総量においてアメリカをスピーディに追い付いているが、経済社会的発展レベルではアメリカと比べれば、依然として大きな差がある。中国の一人当たりの名目GDPは2019年1万262ドルでアメリカの6万5298ドルの15.7%に過ぎず、一人当たりのPPP基準でもアメリカの4分の1水準にとどまっている。中国のGDPが2030-35年にアメリカを追い越すと予想されるが、この時も一人当たりのGDPはアメリカの4分の1程度にとどまる 19 。このように覇権を争う国家間に経済規模は同じくらいであるが、社会発展レベルにおいて大きな格差のある前例は探しがたい。これは、人口規模の差から来る現象として、中国が相当の期間アメリカの覇権的地位を代替しにくくする要因なのである。それゆえ、米中の戦略競争と対立は当分の間いずれの国が確固たる優位が占めにくい状況の中で長期戦で行われるであろう。もし予想より早くこの競争の結果が出るとしたら、それは、中国かアメリカ内部において経済力や軍事力に大きな影響を及ぼす危機が発生した場合であろう。中国はもちろん、アメリカも内部に困難な問題を抱えている。しかし、この問題がソ連のような崩壊へつながる可能性は低い。アメリカの政治や社会システムは依然として変化に対応し、適応できる柔軟性を有しており、中国の現体制も高いレベルの実績に基づく支配の正当性(performance legitimacy)と物的基礎を構築している。
4.米中戦略競争の国際秩序に対する影響と韓国の対応
何より米中の戦略競争にもかかわらず、二つの勢力圏が重なったり、いずれの方にも偏らない空間が冷戦の時よりいっそう広く存在するからである。アメリカあるいは中国と足並みをそろえる国家も、その大半が相手を敵対視する戦略に参加することに距離を置こうとする。例えば、ヨーロッパは対中国戦略においてアメリカと足並みをそろえる可能性が高いが、とはいえ、中国との協力は排除しない。2020年末、EU・中国投資協定が締結されたのが、この点をよく見せてくれる 21 。2020年2月4日、アメリカのあるシンクタンクが主催した討論会でフランスのマクロン(E. Macron)大統領は、「ヨーロッパは、アメリカの中国対抗のためにアメリカと団結してはならない」と主張し 22 、ドイツのメルケル(A. Merkel)首相もEUの独立的外交を数回強調した。ASEAN(東南アジア国家連合)も米中戦略競争の中で自律性を確保するために努力している。トランプ行政府が大統領選挙の敗北にも屈することなく、対中攻勢を強化し続けた2020年11月15日、アセアン諸国と韓国、中国、日本、オーストラリア、ニュージーランド等の16か国は、8年間延期してきたRCEP(東アジア地域包括的経済連携)に署名した。これも国際秩序の不確実性に対する安全装置を用意するという意味がある。冷戦体制と比較すれば、アメリカと中国を除いた他国の力量がもっと高まり、対外関係においてより高い自律性を確保している状況である。
第一に、韓半島における平和プロセスの進展である。韓半島の平和プロセスは冷戦遺産の克服であるだけではなく、米中戦略競争が国際社会に及ぼす否定的影響を減らす意味がある。これが簡単ではないということは、最近の状況で改めて確認された。これまでのように「対話―対決」のサイクルが繰り返される状況から抜け出すためには、勢力関係において優位にある行為者の先制的行動あるいは先制的譲歩(unilateral accommodation)が重要である 24 。成功的平和プロセスは、このような行動が信頼を増進し、平和プロセスの持続性を確保するのに決定的な役割をしたことを見せてくれる。北アイルランドの平和プロセスも、イギリスが北アイルランドの独立のために武装抵抗路線を堅持した政治勢力を平和交渉のパートナーとして認めながら、本格的に推進された。そして、交渉を通じて信頼を蓄積しながら、武装抵抗路線を廃棄する過程が進められた。ところが、北朝鮮との交渉では先制的譲歩はもちろんであり、ある程度等価性のある交渉案さえ北朝鮮に対する屈服としてとらえる傾向が依然として強い。このような態度では交渉を進展させにくい。もちろん過去より北朝鮮問題に対する現実的アプローチ方法、例えば、段階的アプローチに対する共感が広がったことは肯定的である。ただし、このような共感を基にして現実を変化させる主体は、韓国でなければならない。他の誰かが問題を解決してくれることができるという期待は、幻想にとどまる公算が大きい。そして、私たちが主導する変化、とりわけ平和・生態・均衡発展を指向する韓半島の協力が本格的に推進されれば、不確実性が高まっている世界をより安全にしていくのに大きな動力を提供することができる。
第二に、韓米同盟と韓中関係を超える外交空間を開拓していかなければならない。ここで注目されるのが中堅国の外交である。米中ともに国際社会を肯定的方向へ率いるリーダーシップが欠如している状況において、つまりグローバルなレベルではG0と呼べる状況が出現したことによって、その空白を埋めるのできる中堅国外交の重要性が高まっている 25 。これは、今後世界が米中葛藤によって左右されないようにすることにおいても重要な意味を持つ。中堅国の定義については様々な論争があるが 26 、大雑把に定義すれば、国際社会において大国と小国の間に位置し、行動的な側面において国際協力を仲裁し、促進する役割をすることができる国家を意味する。このような役割をするためには一定の物質的力量とソフトパワーがすべて必要である。韓国は防疫過程において見せた社会及び国家の力量、世界10位圏内のGDP、韓流等の文化的影響力の増加など中堅国外交を推進することができる条件を備えつつある。ところが、中堅国外交と関連して韓国を注目することは多くない。私たちが経済規模と軍事力等の側面においては中堅国としての力量を高めているといえるものの、より注目される国家に比べて研究開発能力や技術、基金、国際ネットワーク等が脆弱である。韓国社会は依然として成長至上主義から抜け出しておらず、人類が必要とする価値の具現のためのビジョンや力量の面においても足りない点が多い。気候変化の防止と関連した韓国の立場と客観的実績がそれを証明する。韓国は、2019年温室ガスの排出量において世界9位を記録した 27 。概ね経済規模の大きい国が温室ガスを多く輩出しているものの、ヨーロッパ諸国が減縮に積極的に取り組んでいる反面、韓国は最近までもこれに対して明確な立場を明らかにしなかった。つい最近2050年までに炭素中立化を実現すると天明したが、どの程度の行動が伴うのかはもっと見守らなければならない。現在一人当たりの温室ガスの排出量において韓国は日本、ドイツなどよりもはるかに高い水準であり、私たちより上位の国家が大半中東の石油生産国という点を考慮すれば、この課題が決して簡単なものではないことがわかる。これに対する感受性と意識が画期的に高まる必要がある。ジェンダー問題も対外関係において私たちの役割を制約する主な原因の一つである。女性の政治的・社会的参加と補償の水準をよく表す世界経済フォーラム(WEF)のジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index, GGI)順位において、韓国は108位にとどまった 28 。この状態をこのまま放っておいては、中堅国外交において私たちの役割を見出しがたい。この問題を解決していくこととともに、国際公共財の供給をどのように保障するのか、そのイニシアティブを発揮するためのより深い工夫が必要である 29 。これが、世界を米中葛藤という枠を越えて、想像し、構成していく効果をつくりだすことができる。
Weakest link:市場の早期警戒アラートの現状と今後の注目点 - 金融テーマ解説
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市場は今後どこへ向かうのか
タブレットに最適化されたAndroid 3.0を搭載した「Optimus Pad」や「XOOM Wi-Fi」が相次いで発売される一方、先月末には東日本大震災の影響で延期になっていた「iPad 2」も発売となり、今世間ではタブレットデバイスのブームともいえる状況だ。さらに国内でも東芝、ソニーといった大手メーカーがAndroid搭載タブレットの投入を表明しており、今後さらなる盛り上がりが到来することが予想される。
●やはり「iPad」なのか 市場は今後どこへ向かうのか
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iPad 2。初代iPadに比べて約5mm薄型化され、読書端末としての使い勝手も向上した |
とくに新モデルであるiPad 2では、初代iPadのネックの1つであった厚みがおよそ3分の2となり、取り回しが大幅によくなったことからも、今後しばらく同様の回答をし続けることになるのではないかと思う。実際にしばらくiPad 2を使ってみると、薄型化によって読書端末としての使い勝手は格段に向上したと思えるからだ。
ちなみにiPadをすでに所有している人に対しては「7型のGALAXY Tabもなかなかいいですよ」と答えることも多いのだが、回線契約のほか厚みがネックになるようで、実機を見せるといまいちウケがよくない。GALAXY Tabの新モデル「GALAXY Tab 10.1」はiPad 2を超える薄さということで期待が持てるが、読書アプリそのものは従来のAndroidアプリを使うわけで、革新的なユーザー体験が期待できるかというと微妙だ。現状のAndroid対応の読書アプリの多くは単ページ表示が基準なので、Android 3.0対応で見開きがきちんと表示できるようになることに期待するくらいだ。
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GALAXY Tab。ほかにあまりない7型カラー液晶を搭載 | iPad 2とGALAXY Tabの比較。縦横比率が違うので一概に比較はできないが、表示面積はおよそ倍くらい違う | iPad 2とGALAXY Tabの厚みの比較。GALAXY Tabのほうがやや厚ぼったい |
●ハードウェアレベルでは、過去の製品とそれほど差はない
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初代iPad(左)とKindle 2(右) |
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ソニーの「Reader」。これは6型の「Touch Edition」 |
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シャープの「GALAPAGOS」。これは5.5型のモバイルモデル |
一方の「GALAPAGOS」はWi-Fiを搭載しており、オンラインストア「TSUTAYA GALAPAGOS」から直接コンテンツを買えるメリットはあるが、追加プログラムのインストールには対応しないことから、iPadのようにさまざまなオンラインストアが利用できるといった選択肢には乏しい。派生機種まで含めて見ると、GALAPAGOSモバイルモデルに3G機能を搭載したNTTドコモ「SH-07C」はTSUTAYA GALAPAGOSに加えて2Dfactoに対応したり、またシャープ製のAndroidスマートフォンで購入済みコンテンツを利用できるアプリがリリースされたりはしているのだが、帯に短し襷に長しといった印象はなくはない。
これら端末が一挙に登場した2010年は一般に電子書籍元年と言われるわけだが、では過去に登場した電子書籍端末と何が違うのか? というのは、誰しも疑問に思うところだろう。具体的に名前を挙げると、ソニーの「LIBRIe」、パナソニックの「ΣBook」およびその後継の「Words Gear」などだ。現行製品ではあるが、富士通フロンテックの「FLEPia」についても、ここに加えていいだろう。
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ソニーの「LIBRIe(EBR-1000EP)」。2004年4月発売 | パナソニック(旧・松下電器産業)の「ΣBook」。2004年2月発売 | パナソニック システムソリューションズ(旧・松下電器産業)の「Words Gear」。2006年12月発売 |
●電子書籍のインターフェイスはiOS/Androidでどう変わるか
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メニュー画面の呼び出し方は機種によって異なる。タッチ対応製品では画面の中央をタップする方式が多い |
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約10年前の電子辞書では、決定ボタンが手前中央にあるなど、独自色の強いキー配列を採用していた。写真は1999年発売のカシオ「XD-1500」 | 最近の電子辞書では、決定キーが上下左右キーと一体化した携帯電話ライクなスタイルが主流。位置も向かって右側と、PCの作法に合わせられている。写真はシャープ「PW-A9000」 |
●シチュエーションごとにおすすめの電子書籍端末
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「GALAXY Tab」はユーティリティを使わなくともmicroSDで自炊データなどのコンテンツを転送できる |
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「i文庫 for Android」の設定画面。iPad版もおおむね同様の設定項目を持つ |
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「TSUTAYA GALAPAGOS」では先日からコミックの配信がスタートした |
●E Inkなど電子ペーパー陣営の巻き返しにも期待
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自炊などのデータを入れると、解像度に合わせて自動リサイズされることでジャギーが発生し読みづらくなる。リサイズされない解像度を指定して出力する方法もあるが、かなり面倒 |
一方、ソニーの「Reader」や「Kindle」などE Inkの電子ペーパー端末は、日本語コンテンツの数が充実していれば話は別なのだが、画像をリサイズするとジャギーが出やすいというE Inkの特性からして自炊データの表示には不向きであり、現状フィットするシチュエーションがあまりないと感じる。
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富士通フロンテックの「FLEPia」。カラー電子ペーパーを採用している。写真は従来モデルだが、各種展示会ではすでに次期モデルの試作品が展示されている |
最後になるが、個人的にはE Ink以外の電子ペーパー端末にも期待したい。伏兵がいるとすれば、富士通フロンテックの「FLEPia」だろう。現行モデルは法人向けで価格も10万円弱で、ページの切り替えに最低でも数秒を要するなど、個人向けの電子書籍端末としては難があるが、昨年から各種展示会で披露されている新型電子ペーパーを用いた試作品は、8~9型と思われる画面サイズながらKindleなど6型のE Ink端末と同等の軽さで、カラーでありながらページめくりも実用の範囲内だ。同社がコンシューマ向け電子書籍端末としてこの製品を投入してくるかはまったくの未知数だし、なにより価格も不透明だが、個人的にはPDFのビューアとして大いに期待している。
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