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【資料公開中】NPS®を分かりやすく解説!意味・計算方法、顧客満足度との違いなど
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NPSと顧客満足度(CS)の違い
NPSと顧客満足度はいずれも顧客の心理状態を尋ねている設問ですが、 NPSが顧客満足度と大きく異なる点は、企業の成長性との相関が高いこと にあります。
一方、NPSは「このサービスを他の人におすすめしたいですか」という質問に対して「すすめたい」という回答をスコアとして計算するので、 将来の行動をスコア化 することができ、 企業収益と相関性がある事が、既に過去の事例から証明 されています。
NPSについてさらに深く理解するためには、 「頭の満足」(価格の安さ、納期の短さ、品質の高さなど合理的な基準や判断で満たされる満足) と 「心の満足」(信頼や愛着、安心など感情的な基準や判断で満たされる満足) の違いについて知る必要があります。
NPS調査には2種類ある!それぞれの特徴を解説
NPS調査には、大きく分けて トランザクション調査 ・ リレーショナル調査 の2種類があります。ここではそれぞれの調査手法について解説します。
① トランザクション調査
トランザクション調査は、顧客が対象となる 利用体験をした直後に調査を実施・評価 するものです。
具体的には、顧客が店舗で商品を購入したり、サービスを利用したり、Webサイトから情報を取得したりなど、それぞれの体験を体験直後に評価します。
この調査では、 顧客の体験を正確に把握することができ、提供するブランドやサービスの課題発見を可能に します。それ以外にもリピート率の違う顧客の体験を比較し、サービスの改善に生かすこともできます。 年間を通して実施 する場合や、 必要に応じてその都度実施 する場合があります。
② リレーショナル調査
リレーショナル調査とは、 自社ブランドに対する顧客の体験全体を評価 するものです。顧客は1年間を通して商品の購入や問い合わせ、周囲の評価との照らし合わせなど自社ブランドと直接的・間接的な接点を持っています。この体験を総体的に評価します。
この際、体験時の満足度も一緒に調査することで、どの体験が顧客の評価を生んだのか、言い換えればどのような体験が顧客にとって重要だったのかを分析することが可能になります。この調査は、複数のブランド体験を総体として評価するため、 年に1、2回での実施 が推奨されています。
【ポイント】2種類の調査を並行して行うことが重要
リアルな顧客の声を集めることで、 顧客が体験した際に生じた課題を把握でき、企業のブランド戦略やサービス展開にダイレクトに反映させることが可能 になります。また、 体験直後に調査をするため、回答コメントでクレーム的な回答があった場合に、すぐにフォローする事で、顧客の離反を防ぐ事が可能 です。
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NPS調査の質問文、質問項目
一般的な質問は、「 この商品(サービス)をあなたのご家族や知人・友人にどのくらいおすすめしたいですか? 」です。
この質問文を具体的な商品・サービスに合わせて、加筆修正することが重要です。購入層が限定的な商品であれば「仮に〇〇に興味がある知人友人が身近にいるとしたら」という具合に、推奨するシーンを顧客にイメージしやすいように文言を追加します。
①「商品・サービスをどこで知ったか」
「商品・サービスをどこで知ったか」という設問の最も重要な役割は、 効率的な広告戦略 を練るために情報を集めることです。
顧客は必ず、テレビやインターネットなど、なにかしら情報媒体を経てから商品にたどり着いています。
顧客が商品やサービスを知ったきっかけを把握することで、力を入れるべき効果のある広告が見えてきます。また、あまり効果のない広告からは撤退したり、規模を縮小したりすることで、 無駄な広告費用を削減 することもできます。
②「商品・サービスを購入した理由」
「商品・サービスを購入した理由」を聞くことで、その「 強み 」を知ることができます。
商品によっては、デザインや販売場所などで選ばれることもあります。そしてこれこそが、他社商品と比較した時の「強み」となります。これを分析することで、 販促の際に特に力を入れなければならない部分が見えてきます 。
③「商品の機能や顧客とのタッチポイントでの満足度」
NPSは顧客が該当の商品・サービス全体での推奨度を聞いていますが、 商品・サービスの詳細 については分からないため、具体的に聞き出す必要があります。このため、顧客が商品・サービスを購入・利用する間でキーとなるポイントがいくつか存在します。
このような 項目ごとに評価 いただくことで、 NPSとの相関関係を把握することが可能 となります。
その結果は、 改善活動の優先順位付けに利用できる ので、 効率的な改善アクション につながり、早期の業績向上が期待できます。なお、顧客満足度調査の質問項目については以下のリンクをご参照ください。
NPSの導入、評価に際しての注意点
① 競合企業のスコアを測定する
サービスの内容や顧客の属性によってNPSの分布が変化するため、自社のNPSのみで判断するのではなく、 競合企業に対する自社のポジション を確認する必要があります。相対的な位置関係を把握することによって 適切な差別化 が図れます。
② 定期的に測定する
NPSを継続的に測定し、その 推移を時系列で捉える ことで、自社の マーケティング手法の妥当性・効果量を知る ことができます。
③ 測定する顧客を特定する
多様な顧客が存在する中でロイヤルティを把握するには、 調査対象を限定 することが大切です。
顧客全体を測定する時には、性別、年齢別などの属性に合わせる必要がありますし、優良顧客層を対象にする場合は年齢や性別などに加えて、会員制のサービスであればその履歴、ランクなどの属性を捉えて調査する必要があります。
④ スコアの絶対値に一喜一憂しない
NPSのスコアは商材特性(業界)や回答者の属性によって傾向が異なる ため、NPSを運用する際には、マイナス20だからダメだ、といった絶対的なスコアに一喜一憂しないことが大切です。たとえば 日本人は 、0-10の11段階評価では「5」もしくは「6」を付ける割合が多く、 種類や初心者におすすめの指標、基本的な手法を紹介 種類や初心者におすすめの指標、基本的な手法を紹介 NPSがマイナスになる傾向が強い という特徴があります。
⑤ フリーコメントをたくさん集める
NPSの本質はスコアではなく、スコアに紐づいたフリーコメント にあります。ただし、アンケートでフリーコメントを記入いただいても、その内容を眺めるだけでは何の意味もありません。
では、どうしたらよいかということですが、まずは数多くのコメントを収集することです。そのうえで、 テキストマイニングによって特徴的なコメントを引き出して、改善活動につなげる ことが重要です。
要注意!日本におけるNPS調査
日本でNPS調査を実施する場合、 NPSの値が欧米に比べて低くなる傾向がある ことを把握しておく必要があります。これは、 選択肢の両極ではなく、中間を選ぶという日本人特有の「中間回答傾向」 が影響しているからです。
早稲田大学大学院 経営管理研究科の木村達也教授は自身の学術報告書で、”日本人(および東アジア人)は他国の人々(とりわけ個人主義的傾向の強い米国人)とは対照的なレスポンススタイル, すなわち与えられた選択肢の両端(Extreme)でなく中間(Midpoint)を選ぶという中間回答傾向を持っている”と述べています。NPSは0~10のスケールのうち0~6を「批判者」と分類するため、真ん中が選ばれやすい日本では、必然的に「批判者」が多くなり結果的にスコアが低くなってしまうのです。
※mineoはMVNO(仮想移動体通信事業者)トップ、NTTドコモは大手携帯キャリアトップ
ソニー損保はダイレクト型自動車保険トップ、東京海上日動は代理店型自動車保険トップ
※NICE Satmetrix「2021 B2C NPS Benchmarks at a Glance」、NTTコムオンライン「NPS業界別ランキングトップ企業 2021」を基に弊社で作成
このように、日本では業界トップ企業でもNPSはマイナスになるケースがほとんどです。一見、スコアがマイナスだと焦ってしまったり、経営層から悪い印象を持たれることがありますが、 マイナスでも気にする必要はありません 。NPS調査結果を改善に繋げるためには、 自分の業界のNPSベンチマークを把握し、他社と比べて自社がどの位置にいるのか、的確に判断することが大切 です。また、 定期的な調査でNPSを時系列で追っていき、過去の評価と現在の評価を比較 することで、改善活動の効果を確かめることができます。
株式投資の情報はどうやって集める?おすすめのサイト・アプリ15選
金融情報の提供を行う株式会社DZHフィナンシャルリサーチが運営する株式情報サイト。
日本株から海外株まで、豊富な情報を揃えている。特に業績修正や証券会社が格付けするレーティングが変更となった銘柄を一覧で閲覧することができ、投資判断に役立てることができる。業績修正や証券会社のレーティングは株価に大きな影響を与えることも少なくないため、どのような業種や銘柄の業績が良いのかということを確認することは大切なことだ。
出展元:トレーダーズウェブ
アセットアライブ株式情報
Bloomberg.co.jp
モーニングスター
みんなの株式
myINDEX
myINDEXは投資の王道と言われる『インデックス投資』をゼロから学べるコンテンツと、実際の投資に役立つETF・インデックスファンド、世界中のインデックス(株価指数)、投資ツールを提供しているサイトになります。
初心者向けの投資の勉強に向いていて、重要かつ基本的な考えた方が分かりやすく解説されており、ツールも無料で使用できます。
出展元:myINDEX(マイインデックス)
moneby(マネビー)
moneby(マネビー)はマネー×学び=マネビーという名前に表現されているように投資の勉強アプリです。
日本やアメリカの株式市場をゲーム感覚で予想したり、「スクール」で隙間時間に勉強することができ。投資に役立つ様々な知識をクイズで身に着けることが出来ます。
特徴的なのはFunds Robo(ファンズ・ロボ)と言う質問に答えるだけで、あなたに合った投資スタイルを分析して資産構成(ポートフォリオ)を提案してくれます。
出展元:moneby(マネビー)
株を管理するおすすめのサイト・アプリ
ロボフォリオ
株式投資に特化した投資管理アプリです。 保有株の適時開示も閲覧可能や保有株の総益一括チェックが出来て、銘柄入力が不要で自動です。
銀行口座との連携が出来ませんが、保有株の適時情報を自動通知で知らせてくれます。
出展元:ロボフォリオ
マネーフォワード ME
マネーフォワード MEは利用者1,100万人の大人気家計簿アプリです。 銀行口座やクレジットカード、電子マネーに証券口座、ECサイトやポイントなどお金をまとめて「自動」で「簡単」に管理することが出来ます。
個別株の損益や資産推移も見ることが可能です。
無料版でも10口座まで連携することが出来るので試してみるのも良いと思います。 ※全体の資産推移グラフは見ることが出来ません。
出展元:マネーフォワード ME
Investing.com
「Investing.com」は金融ニュースやリアルタイムチャート、ポートフォリオ、株式市場・FXなどのライブ相場データを提供する金融情報ポータルサイトです。
リアルタイムチャートは世界の金融商品を網羅しており、株式、株価指数先物、商品先物、通貨、ETF、国債などを見ることができます。
出展元:Investing.com 種類や初心者におすすめの指標、基本的な手法を紹介
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顧客分析の基本的な7つの手法をご紹介
顧客分析を通じてどのようなことがわかるのでしょうか。
顧客の性別、年代、職業等を把握することで、どのようなライフスタイルの顧客がいるのかわかります。
顧客の属性情報を各顧客の購買データや問い合わせ内容等と結び付けることにより、どのようなニーズを持った顧客がいるのか理解することができます。
顧客分析で顧客像をつかむことにより、よりターゲットを絞った新商品開発につなげることも可能です。
また、顧客が潜在的に持っていると考えられる不満を特定し、不満に対処できるようなサービスを考案することもできます。
現代ではモノやサービスが増えており、顧客はそれぞれのニーズに応じたサービスを選択しています。
このような状況下では万人に向けて作ったサービスが顧客に受けるというのは難しいといえます。
具体的なペルソナを想定し、具体的な悩みを解決できるサービスを開発する必要があります。
自社に関心を持っている顧客はどういう人で、どのようなニーズを持っているのか、という点を理解することで、顧客に刺さるサービスを生み出したり、効率的に広告配信などを行うことが可能になります。
顧客分析を行うことで、新規顧客の開拓と既存顧客の維持を行うために有効的なマーケティング施策を立てることができるのです。
顧客分析の主な7つの手法
顧客分析には主に7つの手法があり、状況ごとに効果的な手法が異なります。
複数の手法を組み合わせて分析を行うこともあります。
どのような手法があるのか概要を知っておき、適切な手法を選択して分析してみてください。
1.セグメンテーション分析
セグメンテーション分析は顧客をセグメントに分けて分析する手法です。
性別や年齢、居住地に分けて行動履歴を分析します。
すると、特定のセグメントのみ別の挙動をしていることもあります。
このようなセグメントの傾向に気づけるのがセグメンテーション分析です。
セグメンテーション分析は比較的イメージしやすく、取り組みやすい手法です。 種類や初心者におすすめの指標、基本的な手法を紹介
ですが、セグメンテーションの可能性は無数にあり、人力で全てを検証するのは難しいところです。
セグメンテーション分析を行うにあたってはあらかじめ何らかの仮説を持っておき、分析で仮説を検証するのが望ましいといえます。
2.デシル分析
デシルとはラテン語で10を意味する言葉です。デシル分析とは全ての顧客を購入金額の高い順に等分にグループ化して分析する手法です。
サービスの売上順に顧客を並べ、グループに分けます。
非常にシンプルな手法ですが、この手法でどのグループが売上に貢献している優良顧客か見極めることができます。
デシル分析とコールセンターの問い合わせ履歴を組み合わせると現状の対応が適切かどうか検討することもできます。
あまり利益に貢献していない顧客に長時間対応しているようであれば、コールセンターの運用方法を検討し、利益を生む顧客により時間をさけるようにする必要があります。
デシル分析は取り組みやすく、手始めに取り掛かるのによい分析手法だといえます。
3.行動トレンド分析
行動トレンド分析とは、行動のシーズン性に注目して分析する手法です。
サービスは常に一定の頻度で利用されるとは限らず、季節や時間帯で利用が集中することがあります。
行動トレンド分析では季節、曜日、時間帯などのシーズンに分けて顧客の行動を分析します。
行動トレンド分析活用することを効率的なタイミングで広告を表示することが可能です。
また、シーズンごとに顧客の行動が変化する背景にはシーズンごとに顧客が別のニーズを持っているという事情もあります。
そのニーズを深堀することで新サービスの開拓につなげることも可能です。
4.RFM分析
このランク付けにより、合計金額は同じであっても少額を高頻度で購入する顧客と高額を低頻度で購入する顧客などが見えてきます。
このような顧客の特性ごとにふさわしい営業施策を実行できます。
例えば、高頻度で購入する顧客にはより上位のものを買ってもらうような提案をして、単価アップにつなげます。
顧客の特性ごとの施策提案につながりやすいのがRFM分析です。
5.CTB分析
「分類(Category)」とはサービスの価格帯、サービスの種類などの切り口です。
例えば、スマートフォンを探している人とフィーチャーフォンを探している人は異なるカテゴリーになります。
「テイスト(Taste)」は商品の大きさやデザインなどの切り口です。
大きいバッグが欲しいのか小さいバッグが欲しいのか、かわいらしいバッグが欲しいのか大人らしいバッグが欲しいのか等の分類が可能です。
「ブランド(Brand)」は企業ブランドの切り口です。CTB分析は定性的なデータを扱うこともあり気軽に実行するのが難しいところがありますが、顧客の志向をつかんで商品開発等につなげることができます。
6.LTV分析
LTVとはLife Time Valueの略で、顧客生涯価値と呼ばれています。
LTV分析は顧客がサービスに対し、生涯どれくらいの額を使えるのかの指標であり、サービスを長期的に利用している顧客ほどLTVは高くなります。
LTVを分析することで、優良顧客を見つけ出しフォローすべき顧客を把握することが可能です。
平均購入単価 × 購入頻度 × 継続購入期間でLTVは算出できます。
LTVは新規顧客の獲得に力を入れているタイミングで下がりやすいため、新規サービスの立ち上げの際などは確認しておくべき数値と言えるでしょう。
7.CPM分析
CPM分析とは、Customer Portfolio Managementの略で、顧客をグループ分けし、それぞれの属性に合った施策を行う方法です。
顧客の購入回数、購入総額、在籍期間(初回購入日から最終購入日までの日数)、離脱期間(最終購入日からの経過日数)といったデータをもとに、10のグループに分類します。
分類したグループごとに、そのグループの特徴に沿ったアプローチをすることによって、リピーターを増やすことにつながります。
顧客分析を行う際のポイント
顧客分析を効果的に行うには、顧客分析の手法を正しく理解し、適切な手法を適切なタイミングで利用する必要があります。
どのような手順で顧客分析を進めていけばよいかご紹介します。
ペルソナを設定する
ペルソナとは架空のユーザー像のことです。新商品を開発するとき、既存の商品を改善するときなどに用いられる手法です。
ペルソナをもとに分析を行っていきますので、ペルソナの作りこみは顧客分析の要ともいえます。
ペルソナを設定するときは具体的に検討することが大切です。
例えば、「都市部に住んでいる30代女性で、営業として働いている、年収は400万円、趣味はライブ鑑賞、毎日のルーティンは朝6時に起床し…」といったようなイメージで検討します。 種類や初心者におすすめの指標、基本的な手法を紹介 種類や初心者におすすめの指標、基本的な手法を紹介
実在する人間のようなレベルで作りこむ必要があります。
このペルソナを設定することにより、ペルソナの目線で想像力を働かせられるようになり、顧客ニーズに近づける利点があります。
顧客のニーズを掴む
ペルソナを設定した後はペルソナの目線になって具体的に思考していきます。
ペルソナを詳細に設定したため、ペルソナの持っている悩みやニーズはイメージできる状態になっています。
自社の新商品や既存商品について、ペルソナはどのような感想を抱くだろうかということを思考実験します。
ある程度ニーズの仮説ができた段階で、実際のペルソナに近い人にインタビューすることもあります。
仮説と実際の声が重なっていれば顧客のニーズはある程度適切につかめていると考えられますし、仮説とは全く違う声があれば仮説を修正します。
顧客のニーズは方程式に当てはめて簡単に答えを導き出せるものではないので、試行錯誤が必要です。
顧客の意思決定プロセスを把握する
次に顧客の意思決定プロセスについて検討します。 種類や初心者におすすめの指標、基本的な手法を紹介
サービスを顧客が利用するかどうかを決める際に、どのような項目が判断基準になりそうかを特定します。
価格、デザイン、機能等の項目を挙げたあと、ペルソナを想起して、サービス選びにおいてそれらの項目の優先順位を想定します。
ただし、本当にその通りとは限らないというのが注意すべきポイントです。
ペルソナはあくまで自社で作った想定であり、本当のターゲットがペルソナと同じような思考をするかは定かではありません。
ペルソナを信じ込みすぎ、実際の顧客を置き去りにしてはいけません。
顧客の意思決定プロセス把握においてもある程度仮説ができたタイミングでアンケート調査やインタビュー調査を実施し、仮説を検証することが有効です。
AIを活用した顧客分析とは?
顧客分析を人力で行うと勘に頼る部分が出てしまい、本当に顧客をとらえた分析とはならないこともあります。
最近では、ビッグデータと相性がいいAIを活用した顧客分析ツールも増えてきており、あらゆる組み合わせをハイスピードで検証可能です。
AIを活用した顧客分析ツールを使うには高度な知識は必要なく、IT初心者であっても問題ありません。
昨今はAIサービスが発達しており、人力で対応するよりも低価格でAIを活用した顧客管理ツールを利用することができます。
料金がネックになりAI導入をためらっていた方もぜひご検討ください。
顧客分析ならGOLDEN LIST
GOLDEN LISTはAIを活用してコールセンターのアウトバンドリストを解析できる顧客分析ツールです。
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その優先度に従って業務を行い、結果をフィードバックすることでGOLDEN LISTはさらに学習を行います。
結果として、二回目以降の利用の際にはさらに精度を上がった顧客優先度表を利用することができます。
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KPIとは?定義や設定方法、その他の指標との違いを徹底解説
KPIという概念は、昨今かなり一般化してきました。しかし、KPIとその他の指標を混同していたり、使い方を正しく理解できていない人も多いのではないでしょうか?
この記事では、KPIの定義やその他の指標との違いのようなKPIの基本から、実際にKPIを設定する手順や注意点まで徹底的に解説します。
「KPIマネジメントやKPIの考え方を徹底的に学びたい」という場合は、私たちが提供する 「KPIマネジメント研修」 もぜひご検討ください。
本ページの目次
- KPIとは?
- KPIとその他の指標の違い
- KPIマネジメントが注目されている背景
- KPIを設定するメリットとデメリット
- KPI設定の注意点
- KPI設定のための6つのステップ
- KPI設定のポイント
- KPIマネジメントを学ぶ方法
- KPIの効果的なマネジメントスキルを身につけるために
KPIとは?
KPIの定義
KPIとは、”Key Performance Indicators”の略称で、”重要業績評価指標”のことです。
また、私たちは、KPIを「対象となる事業活動において、定めた目標の達成度合いや、その達成に向けた主要な活動の進捗状態をはかるための定量的な指標」であると定義しています。
もう少しわかりやすく言い換えると、「事業の目的達成に向けて、無駄なく行動するために集中する点を明確にし、その進捗を測るためのもの」です。
KPIは、単なる管理指標として使用されることもありますが、その指標が「目的に対して最も貢献する行動」を促すものでなければ設定する意味がありません。
事実、KPIは単なる管理指標として使われるケースも非常に多いのですが、その指標が「目的に対して最も貢献するアクション」を促すものでないと、設定する意味はありません。また、「とりあえず」や「なんとなく」で設定して、その数が多くなってしまったKPIによって、真に必要なアクションに充分な時間を割けない状況というのは本末転倒です。
KPIマネジメントとは?
KPIマネジメントとは、各種分析検討に基づきKPIを設定し、効率的に組織を運営する手法です。
KPIマネジメントでは、定期的にKPIの測定および実効性の検証・改善を行い、PDCAサイクルを回します。KPIを適切に設定することで、業務の目的の明確化や数字での進捗管理が可能になるため、目標を達成しやすくなります。
また、KPIマネジメントでは「何に注力するか」、言い換えると、「何をやるか」だけでなく「何をやらないか」という考え方が重要です。
KPIとその他の指標の違い
KPIの3つのレベル(KFI・KRI・KAI)
KPIには3つのレベルがあります。
1つ目のレベルはKFI(またはKGI)で、「何を活動の目的とするのか」という業績指標です。
2つ目のレベルはKRIで、「どういう状態になれば目的につながるか」という中間指標です。
3つ目のレベルはKAIで、「その状態を作るためにどんな活動が考えられるか」という活動指標です。
KPIの1つ目のレベル:KFI(またはKGI)
KFIとは、”Key Financial Indicator”の略称で、”重要財務指標”のことです。
売上や利益など、事業活動の大目的である「財務的な成果」を把握するための指標です。また、市場シェアなど、財務的な成果を間接的に表すことができる指標もKFIとなり得ます。
活動の最終目的が財務的な成果ではない場合は、KFIではなく「KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)」と呼びます。
あなたはKGIとKPIの違いを説明できますか? また、KGIとKSFの違いは正しく理解できていますか? この記事では、わかっているようで意外ときちんと理解されていないKGIとその他の用語の違いやKGIを設定するメリット、KGIに使用される指標の具体例、設定方法などをわかりやすく解説しま.
KPIの2つ目のレベル:KRI
KRIとは、”Key Results Indicators”の略称で、”重要結果指標”のことです。
リピート率や提案成立件数など、最終的に財務指標へつながる「ターゲットのある理想的な状態」がどこまで成立しているかを把握するための指標です。
KR(Key Result)とは「あるべき状態」、つまり、事業目的を最も効率よく達成するための「トリガー」として機能する状態のことで、考え方としてはKFS(Key Factor for Success:重要成功要因)の概念に近いです。
企業担当者の中には「KFSとは何なのか」「KPIとは何が違うのか」と疑問に思っている人もいるでしょう。 どちらも企業経営を成功させるうえでは重要になります。一見すると同じように思えるビジネス用語ですが、それぞれ意味が異なるので注意が必要です。 本記事では、KFSとは何かと、KFSと混同.
KPIの3つ目のレベル:KAI
KAIとは、”Key Action Indicators”の略称で、”重要活動指標”のことです。
見込み客訪問数や広告出稿量など、KRIを高めるための活動をどれだけ実施したかを把握するための指標です。
KAIは、企業・担当者の意思によるコントロールが可能です。
KPIとOKR
OKRとは、”Objectives and Key Results”の略称で、”目標と主要な結果”のことです。
ひとつの目標に対して、複数の成果が対応するという構造が大きな特徴です。
目標の設定と管理を行う革新的な方法として、アメリカの数々の大企業で導入されたことで、世界中で広く知られるようになりました。
OKRは、KPIとは別の種類の「目標管理ツール」という立ち位置にあたります。KPIという目標管理ツールを使用する際に扱うKGIやKFSと異なり、OKRは別のツールであるため、混同しないよう気をつけてください。
また、OKRでは、チームを鼓舞するようなチャレンジングな目標を設定し、達成率も60〜70%で成功とみなします。一方で、KPIでは100%の目標達成を目指します。
KPIとMBO
MBOとは、”Management By Objectives”の略称で、”目標管理制度”のことです。
KPIの考え方とMBOの関係性や違いについては、よく質問が出ます。
「経営学の父」と呼ばれるピーター・ドラッガーが、1954年に著書の中でMBOを提唱し、現在でも広く企業に普及している組織マネジメントの方法論です。
我々の考えるKPIマネジメントとMBOのアプローチの特徴や相違をまとめると以下のようになります。
MBO | KPIマネジメント | |
---|---|---|
大目的 | 個人の能力開発 | 業績の向上 |
設定単位 | 各個人単位 | 業務単位 |
作成者 | 種類や初心者におすすめの指標、基本的な手法を紹介個人(および上長) | 組織 |
確認方法 | 期末に確認 | 随時確認 |
継続性 | 毎年更新 | 継続的に進化 |
KPIマネジメントが注目されている背景
激化する競争環境
まず、KPIマネジメントが注目されている背景の1つ目は、激化する競争環境です。
ブランド数の増加や製品ライフサイクルの短縮など、21世紀に入ってから、ビジネスの競争環境はますます激化しています。
昨今は、自社独自の戦い方を組織的に展開する高度なプランニングと運用が求められる時代です。
そんな環境下で、マネジメント層が成果を管理せずに、現場のスタッフに丸投げしていたのでは勝ち目はありません。
組織の知恵を集結し、自社ならではの明確なKPIを設定し、組織全体でそこに注力していくことが求められています。
生産性向上の重要性
次に、KPIマネジメントが注目されている背景の2つ目は、生産性向上の重要性です。
現在、多くの業界が人材難に直面しています。優秀な人材を獲得することが難しい傾向は、今後ますます強まる可能性が高いです。
そんな中、企業が成長していくと、当然ながら一人当たりの労働負荷が増加します。そして、そのまま放置してしまえば、ブラック企業の烙印を押され、優秀な人材は離れていってしまうでしょう。
そうならないためには、一人ひとりの生産性を高めることが重要です。
KPIを正しく設定し、社員一人ひとりの業務を、業績に資する活動に集中させることの重要性がますます高まっています。
仕組み化の必要性
最後に、KPIマネジメントが注目されている背景の3つ目は、仕組み化の必要性です。
売り手市場の現在、すべての企業が欲しているような優秀な人材だけを採用することは困難です。モチベーションやスキルレベルを含めて、さまざまなタイプの人材を採用する必要があります。
そのため、社員の自律的な行動に委ねるのではなく、KPIという仕組みで、社員一人ひとりの行動をコントロールすることが求められています。
KPIを設定するメリットとデメリット
KPIのメリット
KPIの一番のメリットは、KPIの設定によって目標が明確になることです。
目標が明確でないと、社員は何をどのようにがんばればいいのかがわからず、会社の業績が上がらないだけでなく、社員のモチベーションも低下してしまいます。
たとえば営業部門で、「リストを100件以上用意する」「アポイント率を10%以上にする」など、明確な目標が設定されていると、社員もとるべき行動をイメージしやすくなります。
また、定量的な数字で設定されたKPIにより計画の成否や達成具合が明確になるため、効率よくPDCAサイクルを回すことが可能になります。
KPIのデメリット
KPIを設定するメリットは非常に大きいですが、デメリットもあります。
それは、KPIを設定することで、社員が目標を意識しすぎてしまったり、プレッシャーに感じてしまうことです。
また、上から一方的にKPIを押し付けてしまうと、社員が考えることをやめてしまいます。
そうならないように、ただ単にKPIの数字を提示するだけではなく、どのようなストーリーでKPIがつながっていて、どういった結果が期待できるのかを、各社員としっかりと共有することが大切です。
KPI設定の注意点
最終的な結果「KFI」のみ設定して満足しない
KFIは、あくまでも活動の「最終的な結果」を示すための指標です。
多くの企業では、KFIまたはKGIのみを設定しています。しかし、この指標だけでは、そこに至るまでの過程がおざなりになってしまい、「重要な活動に集中させる」というKPI設定の意義にそぐわなくなってしまいます。
また、KFIは、あくまでも活動の「最終的な結果」を示すための指標です。そのため、KFIのみ設定していると、各施策の検証ができずに施策ばかりが増えていってしまいます。
実効性のあるKPIマネジメントを行うには、KRIやKAIと組み合わせて運用する必要があります。
KRIをKFIからそのまま分解しない
KRIは、KFIからそのまま分解されるものではなく、KFIと行動の両方を加味しながら慎重に決める必要があります。
KRIがあることで、どのようにターゲットが動き、目標達成につながるのか、その「ストーリー」を明確に描けなければKPIマネジメントは機能しません。
また、KRIにつながるコントロール可能なアクションが想定できることも重要です。
KAIを設定するべきかは柔軟に選択する
場合によっては、各個人の行動にあえて自由度を持たせ、KAIを設定しない方がいい場合もあります。
たとえば、コンサルティング会社のコンサルタントのように、一人ひとりの個性が強く、それぞれの得意な方法で仕事を受注した方が成果があがりやすい場合です。
これは、あくまでも各個人の能力が高く、それぞれの自主性に任せられる場合であり、仕事の質が下がってきた場合にはKAIを設定する必要があります。
KPI設定のための6つのステップ
ここでは、具体的な活動が業績指標へとつながっていく「筋のいいストーリー」をつくり、実効性のあるKPIを設定するのための6つのステップを解説します。
KPIの設定方法についてより詳しく知りたい場合は以下の記事を参考にしてください。
【図解】タレントマネジメントとは? 初心者にもわかる導入の目的、効果、方法、事例について
2019.01.11 【仕組みを解説】年功序列とは? 成果主義と何が違う? 日本型雇用の2つの特徴
日本特有の雇用制度といわれる年功序列。成果主義が台頭しつつある現代でも、年功序列を導入している企業はまだ多くあるようです。 年功序列とはどんな制度なのか 意味や特徴 成果主義との違い 年功序列のメリ.
③働き方改革推進
働き方改革の中でも特に注目されている「長時間労働の是正」。この実現には一人ひとりの社員の生産性向上が鍵となります。
その方法としてタレントマネジメントを検討する企業が増えています。
2019.04.26 【今さら聞けない】働き方改革とは? 3分でわかる78施策のポイント解説
今、多くの企業が国際競争力の低下や人手不足による採用難などのさまざまな課題を乗り越えるため、長時間労働の見直しやテレワークの推進といった「働き方」の見直しを始めています。 国としても企業のフォローアッ.
技術革新によって、タレントマネジメントが実施しやすくなったこともひとつの理由です。
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3.タレントマネジメントを行う目的
最大の目的は経営目標の実現
タレントマネジメントの最大の目的は、「売上・利益を上げる」「事業を拡大する」といった企業の経営目標を、人事戦略の視点から実現していくこと 種類や初心者におすすめの指標、基本的な手法を紹介 です。
この視点を忘れてしまうと、「タレントマネジメントをするためにタレントマネジメントをする」というような手段の目的化が起こりがちですので注意が必要です。
4つの中間目的
最大の目的の「経営目標の実現」だけでは、「タレントマネジメントは何をすることか?」が見えてこないため、その間にある4つの中間目的を見ていきます。
①人材の調達
1つ目は 人材の調達 です。経営目標を達成する上で必要になるであろう人材を揃えることが必要になります。
②人材の育成
2つ目は 人材の育成 。
③適材適所による成果(パフォーマンス)の最大化
3つ目は 適材適所による成果(パフォーマンス)の最大化 です。最大の目的は経営目標の実現なので、各人材に大いに活躍してもらわなければなりません。
④人材の定着、リテンション
4つ目は 人材の定着 です。
調達・育成した人材にできるだけ長く、辞めずに活躍し続けてもらうというのもタレントマネジメントの役割です。
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4.タレントとは誰を指すのか?
そもそも、タレントマネジメントの「タレント」とは、企業の中での誰を指しているのでしょう。実は、「タレント」のターゲットは、包括的と排他的の2つのパターンの想定を可能としています。具体的に見ていきましょう。
包含的(≒全社員)アプローチ
「タレント」のターゲットを包含的にとらえる、それはすなわち、タレントマネジメントを全社員対象に行うことを意味しています。新入社員から幹部クラスの社員まで、マネジメントの対象を広くとらえた考え方です。
排他的(≒幹部候補、特定のプロ人材)アプローチ
排他的、すなわち、マネジメントの対象を幹部候補の社員や特定のプロ人材に絞ったアプローチでは、リーダーシップ論に基づいた戦略的な人材活用が実現できます。高い専門性や知識、キャリアを持った人材のさらなるキャリア開発を最優先すれば、企業として進むべき方向性が明確化、具現化されやすくなります。
どちらが正しいということではない
それでは、包含的アプローチと排他的アプローチのどちらが正しいのでしょうか。実は、包含的アプローチも排他的アプローチも、どちらが正しいという問題ではないのです。
つまり、どちらのアプローチかを選ぶのではなく、個々の企業戦略や企業の置かれている環境に応じて、最適なタレントマネジメントを採用していくことこそが、真の人的資源活用を実現可能とするのです。
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5.タレントマネジメントの効果
こちらでは主に優秀人材(リーダー候補)を対象としたタレントマネジメントの効果についてご紹介します。基本的には優秀人材を対象とした内容ですが、一般社員への適用も十分可能でしょう。
※参考文献『Effectiveness of talent management strategie』Pamela Bethke-Langenegger,Philippe Mahler and Bruno Staffelbach(2011)
人材に対する効果
タレントの満足度、モチベーション、エンゲージメントが向上する
タレントの持つ特性やエンゲージメントレベルに合わせてキャリア開発や目標を提供するため、仕事の満足度、モチベーション、コミットメントが高くなります。 これは、従業員が選ばれた特別なタレントとして在り続けたいと思っていたり、会社からの投資や信頼に応えたいと思っているためです。
参考文献では優秀なタレントに限定した内容ですが、一人ひとりに合わせた配置や育成を行えば、一般社員の満足度、モチベーション、エンゲージメントの向上も見込めるでしょう。
タレントの仕事の質と能力が向上する
タレントマネジメントによって、優秀なタレントを企業が確保し続けようという活動がタレントのコミットメントを高め、企業での継続的な成長につながることから、 仕事の質と能力の向上 が期待できます。
タレントマネジメント実施の際には、タレント一人ひとりに合わせた配置・育成によるパフォーマンス向上だけでなく、人材のリテンション(維持・確保)施策による成長も、忘れずに意識しておきたいポイントです。
組織に対する効果
タレントが企業に魅力に感じ、信頼が厚くなる
タレントの特性やニーズに合わせて目標設定や育成を行うため、タレントに企業からの投資や信頼に応えたいという思いが生まれ、 企業をより魅力的に感じ、信頼が厚くなります。
企業とタレントが相互に信頼関係を築き、タレントに対する投資と企業に対する返報(恩に報いること)を繰り返していくことで、お互いに成長のスパイラルを描けるでしょう。
顧客満足度が向上する
タレントマネジメントは、 顧客満足度の向上にも効果がある と言及されます。その理由として、従業員のコミットメント向上の結果生まれる、長期的な顧客との関係が影響しているとの可能性が指摘されています。また、タレントとして育成が継続され仕事の質が高まることも、顧客満足度の向上の要因と考えられています。
利益やコストに対する効果
組織の成果に強い影響を与える
経営目標や戦略の方向性と合致させたタレントマネジメントの実践は、企業の利益に優位な影響を与える という結果が出ているそうです。その理由は、具体的な戦略に合わせて人事施策を行っているため、余計な調整コストがかからず、また相乗効果が得られるからだと考えられています。
タレントマネジメント実施の際には、その効果を最大化するためにも、経営目標や戦略に合わせて、どのようにタレントマネジメントを実行するかを考えることが重要と言えるでしょう。
採用や育成コストが削減できる
外部からではなく、内部から経営戦略やプロジェクトに必要な人材を発掘するため、 採用コストの削減 が見込めます。また、内部の人間を異動させた方が、新しい環境にも馴染みやすく、 育成コストの削減 も期待できます。
また内部から優秀な人材を発掘できれば、外部からの調達に依存しなくて済みます。優秀人材の発掘≒優秀人材の基準をつくって人材を発見することは、外部人材を採用する際のミスマッチ防止にも役立つでしょう。
6.タレントマネジメントの導入と実践の6つのステップ
何をすれば、タレントマネジメントを可能とするのでしょうか。ここからは、具体的なマネジメントステップとともに、そのシステムをひも解いてみましょう。
初めてのタレントマネジメントには、6つのステップが用意されています。そのステップを着実に進んでいった先には、磨かれたタレント集団を率いる新しい企業像が誕生するでしょう。
目的・目標(経営戦略と人材戦略のひもづけ)
何を目的にタレントを増やすのか、どのくらいタレントを増やすのか、タレントマネジメントを採用することによってどんなタレントを持った社員を率いる企業を目指すのかなど、目的、目標が明確でなければタレントマネジメントは始められません。
ステップ1~6
ステップ1.【現状分析①】人材情報の見える化・可視化
まず、人材情報を集約し、可視化します。
現状がわからなければ、対策すべき課題も見えてきません。
2021.06.30 タレントマネジメントをはじめるために必要な情報の項目とは?
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ステップ2.【現状分析②】「タレント」の特定、タレントプールの作成
人材データを集約したあとはタレントの特定です。
条件をもとに「タレント人材」「タレント人材候補」を抽出します。
ステップ3.【課題抽出・対策立案】採用・育成計画書の作成(P)
ステップ2でグルーピングしたタレントプールごとに育成計画を立てます。そのとき、人員が足りなくなりそうなタレントプールがあれば新規の採用の計画を立てることも必要です。また、余剰人員がでそうなタレントプールからは、配置転換の計画を進めるなど、フレキシブルな計画を立てましょう。
2019.02.04 タレントプールとは? 意味、メリット、事例について
タレントプールとは、潜在する有望な人材に対して企業が継続的にアプローチしていくためのデータベースのこと。 有能な人材が確保できるかどうかによって企業の将来が変わりかねないことから、タレントプールといっ.
ステップ4.人材の採用・配置(D)
ステップ3で練った計画に応じた採用や配置を行います。社員にも、経営戦略と人事戦略のひもづけを意識してもらえるような採用、配置ができれば、マネジメントのさらなる効果が期待できます。
ステップ5.人事評価、レビュー(C)
採用や配置転換などで職場が一新したあとの成果を評価します。企業業績と個々の貢献度の照らし合わせはもちろんのこと、キャリアの志向や仕事上での考えなどもきめ細かに、例えば上司と部下による面談(1on1)などで確認します。
ステップ6.異動、能力開発など(A)
3~6のPDCAを回し続ける
2019.06.06 【もう時代遅れ?】PDCAとは? 致命的な問題点、失敗する原因、企業事例
PDCAは、多くの企業で採用されているセルフマネジメントメソッドです。 改めてPDCAがどのようなメソッドなのかを考えるとともに、メリットや問題点、PDCAが失敗する要因や効果的に回していくポイントな.
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7.タレントマネジメントを実践するにあたって気をつけるべき3つのこと
手段の目的化を避ける:「タレントマネジメントがしたい」ではうまくいかない
日本的雇用慣行からの脱却:「順番を待つ」では育たない
育成することへのコミットメント:育つかどうかは上司(マネージャー)次第
もうひとつ、タレントマネジメントの運営上、考慮する必要があるのは、上司(マネージャー)の存在です。現場社員の育成はマネージャーの仕事。つまり、マネージャーの力量によって、部下の力を発揮できるかできないかも決まってしまいます。部下の成長を阻害するような上司がいる場合は配置の転換などの対策を検討すべきでしょう。
人事が事業戦略を理解する必要があるのと同様に、事業サイドも人材戦略を理解し、人事の行うマネジメントに柔軟に対応できる組織風土が必要です。
2021.07.06 タレントマネジメントの課題とは? 導入・実践の課題と対策、注意点、システムについて解説
近年、新たな人事戦略として注目を集めているタレントマネジメント。タレントマネジメントを取り入れる企業は年々増加しています。 タレントマネジメントを導入し実践する中で、課題が浮き彫りになってきた企業も多.
8.事例でわかるタレントマネジメント
日清食品ホールディングス(以下、日清食品HD)では、以下のように 経営目標を人事上の目標にブレイクダウンし、タレントマネジメントを行っています 。(※数値等は2015年時点のもの)
- 経営目標:2020年に時価総額1兆円
- 人事目標(KGI):経営人材を増やす(+6名)
- KPI:経営人材プール(優秀人材のグループ)を200名にする
- (主な)アクション:①グローバル経営人材の採用 ②現地幹部社員の育成 ③経営人材のグローバル力強化
まずは経営目標として「2020年に時価総額1兆円」があり、それが日清食品HDがタレントマネジメントを行う上での根幹となっています。
人事戦略上の目標(KGI)
事業戦略上、2020年までにキーとなる重要ポジションが新たに6つ増えている予定なので、そのポジションに合致する人材を用意することを人事戦略上の目標としています。
KPI(Key Performance Indicator)
目標(6名の経営人材調達)達成には経営人材プール(≒選抜された経営人材候補のグループ)に合計200名の人材をストックしておくことが必要、とKPIを置いています。
2021.10.13 KPIとは? 【意味を簡単に】設定方法、KGIとの違い、指標の例
個人や組織が設定した目標の達成度合いを定量的に計測することは、人事マネジメントに欠かせません。目標の達成度合いを測定する指標として注目を集めているのがKPI、すなわち重要業績評価指標です。 定量的指.
アクション
さらに、KPI達成のためのアクションとして、
①グローバル経営人材の採用
②現地幹部社員の育成 種類や初心者におすすめの指標、基本的な手法を紹介
③経営人材のグローバル力強化
などを設定し、実際の行動計画にまで落とし込んでいます。
このアクションが日清食品HDでの タレントマネジメントの具体的実践内容 、ということになります。
2021.05.24 タレントマネジメントの成功事例・失敗例|国内企業・海外企業の導入事例6選
「タレントマネジメント」について聞く機会は増えたものの、実際にどんなことをすべきなのかわからない方も多いのではないでしょうか。また、取り組んではみたものの「うまくいかない」と感じておられる方もいるかも.
9.タレントマネジメントシステムの選び方
2018.12.13 タレントマネジメントシステムとは? 機能、メリット・デメリット、選び方、比較ポイント【導入事例アリ】
人事領域では昨今、人材情報を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)や人的資本経営が関心を集めています。こうした背景から人材情報を管理・活用するツールとして、タレントマネジメントシステムが注目.
システムを比較する4つのポイント
①目的:システムでなにをしたいのか
②使いやすさ:誰でも使えるUIか(経営層、マネジメント層が使えなければ意味がない)
③価格:導入しやすい価格帯か
④実績:信頼できる実績か、評判はいいか
コラム.タレントマネジメントの定義
タレントマネジメントに共通化された定義は存在しませんが、各研究機関によって独自の定義が発表されています。
ここでは、アメリカの2つの人材マネジメント組織(SHRM、ASTD)による定義、また日本のリクルートホールディングスの研究機関であるリクルートワークス研究所によるものも併せてご紹介いたします。
SHRMによる定義(2006年発表)
1948年創設のSHRM(Society for Human Resource Management:全米人材マネジメント協会)は、現在、約165カ国、約29万人の会員数を誇ります。2006年にSHRMはタレントマネジメントを以下のように定義しました。
“人材の採用、選抜、適切な配置、リーダーの育成・開発、評価、報酬、後継者養成等の各種の取り組みを通して、職場の生産性を改善し、必要なスキルを持つ人材の意欲を増進させ、その適性を有効活用し、成果に結び付ける効果的なプロセスを確立することで、企業の継続的な発展を目指すこと”
ASTDによる定義(2009年発表)
ASTD(American Society for Training & Development:米国人材開発機構)※は1994年に設立された非営利団体で、約100カ国、約4万人の会員を持っています。ASTDは2009年に「タレントマネジメント」を以下のように定義づけしました。※ASTDは2014年、ATD(Association for Talent Development:人材開発機構)に名称変更しています。
“仕事の目標達成に必要な人材の採用、人材開発、適材適所を実現し、仕事をスムーズに進めるため、職場風土(Culture)、仕事に対する真剣な取り組み(Engagement)、能力開発(Capability)、人材補強/支援部隊の強化(Capacity)の4つの視点から、実現しようとする短期的/長期的、ホリスティックな取り組み(多層的なものを有機的に統合する取り組み)である(訳引用 株式会社スマートビジョン『タレント・マネジメントとは?』)”種類や初心者におすすめの指標、基本的な手法を紹介
リクルートワークス研究所による定義(2013年発表)
”タレントマネジメントとは、組織における個人ひとりひとりの能力とリーダーシップを最速で開花させることによって、組織内のリーダーシップの総量を極大化させ、より高いビジネスゴールを達成することを目的とした、上司・本人・人事による成長促進のためのプロセスである”
タレントマネジメントのQ&A
「採用」「育成」「配置」「評価」「モチベーション管理」といった領域で、タレントマネジメントを活用することができます。 基本的には組織の人事戦略に沿い、「優秀人材を増やす」「その人材が成果を出しやすい環境を整える」という対応になります。 タレントマネジメントを全社的に実施するか、優秀人材にのみ適用するかで、具体的な施策内容は変わります。
タレントマネジメントについては株式会社クラウドワークスの事例がわかりやすいでしょう。 「個」の志向性や特性を生かした配置の提供や、経営層の意思決定の情報ベースとして、人材データベースにもとづくタレントマネジメントを実施しています。 ヒトに基づく様々な情報をデータベースにストックすることで、入社してからの経験だけでなく、潜在的なスキルを考慮した上で、人材を生かしていく方針をとっています。
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